「さよならブラック企業」(ヤングキング)の監修にあたり、コラムを書かせていただくことになりました。
このブログでもご紹介しますので、よろしければ読んでみてください。
皆さん、こんにちは。今回は、セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)についてご説明します。
1 「職場におけるセクハラ」の定義
「職場におけるセクハラ」とは、
・職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、
・それを拒否したことで解雇、降格、減給などの不利益を受けること(対価型セクハラ)や、
・職場の環境が不快なものとなったため、労働者が就業する上で見過ごすことができない程度の支障が生じること(環境型セクハラ)
をいいます(男女雇用機会均等法11条)。
2 「性的な言動」とは
「性的な言動」とは①性的な内容の発言と、②性的な行動を指します。具体例は以下の通りです。
(1) 性的な内容の発言
・スリーサイズを聞くなど身体的特徴を話題にする。
・聞くに耐えない卑猥わいな冗談を交わす。
・体調が悪そうな女性に「今日は生理日か」、「もう更年期か」などと言う。
・性的な経験や性生活について質問。
・性的な噂うわさを立てたり、性的なからかいの対象とする。
・「男のくせに根性がない」、「女には仕事を任せられない」、「女性は職場の花でありさえすればいい」などと発言。
・「男の子、女の子」、「僕、坊や、お嬢さん」、「おじさん、おばさん」などと人格を認めないような呼び方。
・性的指向(異性愛、同性愛、両性愛等)や性自認(性別に関する自己意識)をからかいやいじめの対象としたり、性的指向や性自認を本人の承諾なしに第三者に漏らしたりする(アウティング)。
(2) 性的な行動
・性的な関係を強要。
・ヌードポスター等を職場に貼る。
・雑誌等の卑猥わいな写真・記事等をわざと見せたり、読んだりする。
・身体を執拗ように眺め回す。
・食事やデートにしつこく誘う。
・性的な内容の電話をかけたり、性的な内容の手紙・Eメールを送る。
・身体に不必要に接触。
・浴室や更衣室等をのぞき見。
・カラオケでデュエットを強要。
・酒席で上司の側に座席を指定したり、お酌を強要。
・女性であるというだけで職場でお茶くみ、掃除、私用等を強要。
3 判断基準
労働者の意に反するか、就業環境を害されるかといった点については、「平均的な女性/男性労働者の感じ方」基準とするとされています。
もしあなたが何かセクハラになり得る言動をしようとした時、「相手の意に反するかな…?」「職場の人の就業環境を害するかな…?」と疑問・不安に思うようであれば、しない方がベターといえます。
固定的な性別役割分担意識(例:「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」「男性/女性だからこういった仕事が向いている」)は、セクハラ発生の原因や背景につながります。
若い世代においては、このような意識は薄くなってきたように思われるものの、かくいう私も、子どもを産み育てる場面になると、やはり自分の中に、性別役割分担意識(「子どもが小さいうちは母親は子育てに専念すべき」等)が根強く居座っていると感じることがあります。
セクハラや、ひいては男女共同参画の問題は、古くてしかし未だに解決していない課題なのです。「男だから~」「女だから~」といった発言はナンセンスであると肝に銘じ、性別役割分担意識に基づいた言動も含め、しないように心掛けましょう。
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