弁護士小澤亜季子(弁護士による退職代行・内定辞退代行・役員辞任代行サービス)

退職代行・内定辞退代行・役員辞任代行サービスを実施している弁護士のブログです。https://taisyoku-daikou.com

【弁護士執筆】「即日退職」に関する誤解~「即日退職」は会社の同意がなければできません

昨今、人手不足等により、退職したいのに退職できないという方のために、「退職代行」というサービスが話題になっています。

 

※そもそも「退職代行」って何?という方はこちら 

taisyokubengosi.hatenablog.com

  

私は、弁護士として、退職代行サービスを提供する者ですが、ご相談を受ける中で、

「即日退職できると思って、非弁業者(弁護士でない業者)に退職代行を頼んだのに、即日退職できなかった!」

というご相談を受けました。

 

調べてみると、非弁業者の中には、「即日退職可能」などと、大々的に宣伝しているところもあるようです。

 

しかし、「即日退職」はできない場合もあります。 

以下、「即日退職」できる場合と、できない場合について、ご説明致します。

 

目次:

 

雇用契約の終了パターンは大きく3つ

会社と従業員の間の雇用契約を終了させるには、大きく分けて以下の3つのパターンがあります。

 

①解雇(会社から一方的に雇用契約を終了させる)

②辞職(従業員から一方的に雇用契約を終了させる)

③合意退職(会社と従業員が双方合意して雇用契約を終了させる)

 

ここでポイントとなるのは、②辞職と③合意退職の違いです。 

 

◆「即日退職」=「退職を申し出た当日に雇用契約を終了させる」?

「即日退職」という言葉は、法律用語ではありません。

ただ、文字通り解釈すれば、

=「即日で退職する」

=「退職を申し出た当日に労働契約を終了させる」ということになりそうです。

 

では、従業員が「退職を申し出た当日に雇用契約を終了させる」ことができるのは、どのような場合でしょうか。

 

◆「即日退職」できるのは、会社の同意がある場合だけ!

 「即日退職」=「退職を申し出た当日に雇用契約を終了させる」ことができるのは、上記3つのパターンのうち、③合意退職、つまり、会社が即日退職に合意した場合のみです。

 

逆に、会社が「即日退職など認めない」として、即日退職に合意してくれなければ、従業員は即日退職はできないのです。

 

もちろん、ご依頼者様が即日退職をご希望の場合、私(弁護士)は、会社に対し、即日退職に合意してくれないか、交渉します。

 

ところが、弁護士ではない業者(非弁業者)の中には、弁護士法違反を恐れてか、又は法的知識が乏しいためか、即日退職の「交渉」を行わず、放置してしまうものもいるようです。

 

 

◆「即日退職」できると勘違いし、困ってしまった実際のケース

「即日退職」=退職を申し出たその日に辞められると勘違いし、窮地に立たされてしまった実際のケースをご紹介いたします。

 

甲さんは、上司のパワハラにより精神を病み、退職・転職を検討していました。
そうしたところ、甲さんは、退職代行を行う非弁業者(A社)のHPを発見。
A社のHPには「即日退職OK」「全額返金保証」「万が一、退職できなければ返金保証付きなので安心。」との記載がありました。
甲さんは、上記A社HPの記載を信じ、A社に即日退職の申込をし、料金3万円を支払いました。
そして、即日退職できると信じて、転職先の会社で働き始めてしまったのです。
ところが、A社が会社に即日退職の申入れをして数日たったある日、会社から連絡があり、会社は何と即日退職を拒否したのです。
A社から「即日退職は認められなかった」「2週間後に辞職してくれ」と連絡がきた甲さんびっくり!
急いでA社にクレームを入れましたが、A社は「即日退職は確約していない」と開き直り。もちろん料金3万円も返しません。
甲さんは、前の会社は辞められていないし、転職先には事情を説明できないし、しかも非弁業者に支払ったお金も返ってこないし、窮地に立たされてしまったのです。 

 

上記のケースでは、結局、私が、「退職代行失敗救済プラン」として受任をし、

①退職代行サービスのやり直しにつき受任し、会社と交渉の上、即日退職相当日にて合意退職を成立させました。

②非弁業者に対し、支払い済み料金の返還を請求し、全額回収しました。

 

※「退職代行失敗救済プラン」の詳細についてはこちら。 

taisyokubengosi.hatenablog.com

 

◆会社が即日退職に合意しない場合、会社は辞められないの?

それでは、会社が即日退職を認めない場合、従業員は会社を辞めること自体できないのでしょうか。

 

そうではありません。

 

従業員は、上記3パターンのうち、②辞職、すなわち一方的に雇用契約を終了させるよう申し出ることができます。

 

但し、②辞職の場合は、即日=退職を申し出たその日に辞めることはできません。

正社員の場合、原則として、退職を申し出てから「2週間」経過しなければ、労働契約は終了しないのです。

「即日」で辞職することはできません。

 

◆「(会社から籍が抜けるのは2週間後でもいいけれど)明日から出社したくない」ことは可能?

上記の通り、「即日退職」=「退職を申し出た当日に雇用契約を終了させる」のは、会社の同意が得られない限り、できません。

 

それでは、「(会社から籍が抜けるのは2週間後でもいいけれど)明日から出社したくない」ということは可能でしょうか。

 

それは可能です。

例えば、その2週間について有給を取ることで、退職を申し出た翌日より出社しないことができます。

 

ただし、突然出社しなくなった場合、引継ぎ等の問題が生じ、会社から損害賠償請求される可能性もありますので、注意が必要です。

 

 

以上、「即日退職」に関する誤解について解説しました。

 

退職に関し、お困りのことやご不安な点等ございましたら、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

 

初回30分無料相談も行っておりますので、お気軽にお問い合わせくださいね。

 

◆弁護士へのお問合せ◆

退職代行サービスは弁護士へ!

労働問題を得意とする弁護士が、退職に関する様々な問題を一括サポート。

・費用:6.5万〜(事務手数料・内容証明郵便費用含む)(税別)

・弁護士が個別交渉

・初回相談30分無料

・お問合せ後翌営業日中に弁護士がお返事

・お問合せは、下記ウェブサイト/LINE/お電話(03-5204-1090)からどうぞ。

taisyoku-daikou.com